学校に行けない

不登校について

ふだん何気なく通っている(通っていた)学校。
「なぜ学校にいかないといけないのか?」何も考えないまま通学していたときには浮かばなかったかもしれない疑問ですが、いざ学校に行かなくなる、行けなくなると、この疑問が頭の中をぐるぐると回るひとがとても多いと思います。

いわゆる不登校というものは、それそのものが病気を指し示すものではありません。
不登校は、熱が出ているというような一つの病気の結果であったり、勉強はすべて塾でやっているからいかないというような環境選択の結果であったり、自分の居場所は学校ではないというライフスタイル上の悩みであったり、さまざまなものが混じり合った集合体になっています。

不安なことがあったり、嫌なことがあったり、さまざまなことの結果として学校に行かない選択をとり家にこもることのネガティブな側面が取り沙汰されやすい傾向にありますが、不登校を選択したこどもを前にして心に留めておかないといけないのはもしかするとその反対の側面かもしれません。
すなわち、不登校そのものが、その子どもが、ストレスを回避して繭籠りするための対処方法のひとつであって、学校に居続けたままでは崩壊していた、完全否定していた(かもしれない)自分の存在価値や可能性から一次的に目を逸らすことができるという側面です。
もちろん全てのケースについてそう言えるわけではないのは確かですが、自分を守るためにその選択をとれたこと、その得られた猶予期間のなかでいまいちどやり直し、立て直しができるということ、このポジティブな側面を見落とさないようにすることが重要かもしれません。

ケースで見る不登校

実在の例ではありませんが、よくみられる悩み事を架空のケースとしてお示しします。
このような症状に仮に当てはまっても、当てはまらなかったとしても、ひとりで悩まず、まずは一度ご相談ください。

ケース1

#学校に行けない #眠れない #睡眠リズムの乱れ 

小学生の○○くん(仮名)は注意欠陥多動症(ADHD)の診断を小児科で受け、薬は使っていませんが、定期的に通院しています。

日にちがかわるころまで友だちや知らない大人とのオンラインゲームに熱中してしまうことがここ半年つづいており、両親は悩んでいます。ゲームをしていても、あるいはゲームをしていない日であっても、夜は親が就寝する23時ごろになってもまったく眠ることはできず、本を読んだり、おもちゃで遊んだりして、寝るのは3時、4時となってしまうことも少なくありません。
朝は学校があるので、親は強く揺さぶってなんとか登校させますが午前中の授業や昼休みなどはほとんど寝て過ごし(そのため怒られてばかり)、おやつ時分からようやく覚醒し他児の何倍も元気に、活発に過ごすようになります。

このままの睡眠リズムがクセになってしまったらどうしようかと、親は悩みあぐねています。

➡<概日リズム睡眠障害>のページへ

ケース2

#学校に行けない #食べられない

小学生の○○さん(仮名)は、もとから心配性なところがあるなと両親や周りからも思われているお子さんでした。
学校行事でみんなでバスに乗っている最中の車内で、ご飯をたくさん食べたせいか、それとも緊張していたためか、気分が悪くなってしまい、結果的にバスを途中で止めて道端で吐いてしまいました。

学校の先生はむしろ「よく我慢できたね」と思い本人をいたわりましたし、級友も特にそのことに関して何も思うこともなかったのですが、本人は遠足の旅程を自分が止めてしまったこと、皆の前で吐いてしまったことをとても気に病み、遠足以降は「学校に行きたくない」と親に言い、家にこもりきりになってすでに1カ月ほど経っています。

「あまり食べるとまた吐いてしまうから」と食事量も減って、吐くことを怖がるあまり食事もゆっくりになってしまっており、親も学校の先生も心配しています。

➡<摂食障害>のページへ

ケース3

#学校に行けない

中学生の○○くん(仮名)は、学校であまり仲の良い友だちがいません。
小学校のころからも、まわりと積極的に仲良くなろう、友達を増やしていこう、という考えにはならず、ごく少数の共通の趣味を持つ友だちと遊ぶことがほとんどでしたが、それを気にすることはありませんでした。

交流はオンラインでSNS上の人とが大半で、夜遅くまでつながりを持っています。
ずっとぽっかりと心に穴が空いたようだという実感があり、日常生活もしんどいわけではないが楽しいわけでもなく、学校に行く理由も見出せません。新学年になって、前年度までは多少話すことのあった友人とは別クラスになってからは、とうとう「行く理由がなくなった」と学校に行くことを拒絶し始めました。

成績が悪いわけではなく、勉強はむしろ好きな方で、オンラインでの家庭教師などでの学習は積極的にするので、両親もどう対処していいのかどうかもわからなくなっています。

不登校の生じうる代表的な疾患について

不登校という状態は、先述した通り、いろいろな病気の結果生じていることもあれば、そうとは言い切れない場合もあり、単純化して考えることはできません。

児童青年期にかかる可能性のある疾患すべてにおいて、二次的に不登校となる可能性がありえます。
不登校になったその背景を構成するいろいろな側面、疾患、学校の環境、家庭の環境、そういったものを多面的に評価していくことが外来で行うことになります。

不安や恐怖が主症状になる精神疾患の例

自閉スペクトラム症社会的(語用論的)コミュニケーション障害
ADHD学習障害
統合失調症うつ病
双極症(躁うつ病)適応障害
PTSD身体症状症
摂食障害
アクセス
谷町みきこころの診療所

〒543-0072
大阪府大阪市天王寺区生玉前町
1−13Tpgビル 谷町 2F

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