気分の波が激しい

気分の波について

良い気分、悪い気分ということばを使ったことの無い人がいないように、気分というものはすべてのひとが体験するとても広い情動のことを指し、いろいろな出来事に反応して気分は移り変わりますし、またそのときどきの気分によってその後の行動が変わっていったりもします。
すなわち、その人の気分とまわりの環境とのあいだには相互作用があります。
気分に波がある、とはよく訴えられやすい悩みのひとつでもありますが、気分に波があること自体は当然のことで、誰しもいいことがあれば喜び、嫌なことがあれば悲しい気分になる。しかしながらその気分変動自体がおかしい、と患者さんが主観的に考えるとき、大きくは、気分の変わり方が異質だ(つまりは、普通期待される反応を自分のこころがしない)、変動の幅が大きすぎる、気分のコントロールができない、といった文脈で語られることが多いです。

ケースで見る気分変動

実在の例ではありませんが、よくみられる悩み事を架空のケースとしてお示しします。
このような症状に仮に当てはまっても、当てはまらなかったとしても、ひとりで悩まず、まずは一度ご相談ください。

ケース1

#気分の波が激しい #眠れない

20歳台の○○さん(仮名)は学生時代から快活な性格で、友人も多く、自分から率先していろいろな仕事をするため、まわりからの尊敬もあついひとでした。
入職した会社でも営業職として活発で、行動力も人付き合いも良かったため成績も良好でした。もともと元気だったのが、2週ほど前からはさらにその傾向が強くなり、夜はほとんど寝ずに友人と酒を飲み歩き、明日の仕事の準備にも明け暮れました。

営業活動はとどまることをしらず、アポイントもなしで「突撃」したり、自信たっぷりに話している最中に向こうが話そうとしてくるのを「なぜ僕が話しているのにさえぎるんだ」と不機嫌そうに制止するなど、どんどんと度を超してきています。同居している家族も心配になってきていましたが、両親が思い出すには、過去にも何度か、今回ほどではないものの、テンションが高すぎるなと思うときが週単位でみられたことがあったようでした。

高校生時には、急に「うつになった」と引きこもって不登校になっていた時期もありましたが、その後自然に回復したため気にはしていませんでした。

➡<双極症(躁うつ病)>のページへ

ケース2

#気分の波が激しい  #人間関係が続かない  #死にたい

30歳台の○○さん(仮名)は幼いころからあまり「良い家庭」で過ごせたという実感がありません。
父親のことは覚えていませんが、一緒に暮らす母親からは、小さなころからちょっとしたことでも叩かれたり、罵られたり、いろいろな虐待を受けて育ってきたからです。

そんな母親から逃げようと遠く離れた県へひとりで逃げるように出てきたのが高校卒業後、そこからはいろいろな異性と交流はするものの長続きせず、離れられるのがいやで、市販薬を過量服薬したり手首をリストカットしたり、いろいろな方法で引き留めようとします。
一時的には心配してくれて献身的になってくれはするものの、最終的には手に負えなくなるのか、急に目の前から去ってしまいます。

元気で飛び上がれそうに幸せなとき、急にいろいろ思い出して気分が落ち込んで死にたくなってしまうとき、とが繰り返されるため、自分では「躁うつ病のケがあるなのかな・・・」と考えています。

➡<境界性パーソナリティ>のページへ

ケース3

#気分の波が激しい  #月経関連の悩み

20歳代の○○さん(仮名)は、18歳の時に気分のアップダウンが激しいことから近くの心療内科を受診し、2型双極性障害(双極症2型)という診断で通院を続けています。
もともと月経前には腹痛や頭痛、めまいがひどく自分ではPMSだろうと思ってはいたのですが、周りからは「みんなこんなものだよ」と言われていたので痛み止めを使ったりしながら、騙し騙しで我慢を続けていました。

月経前後には気分の落ち込みがつよく、家族や交際している男性にも苛立ちから厳しく当たってしまったりもたびたびで、家族はその時期にはあまり関わりを持たないようにそっと離れています。

今回は、その時期と、仕事の繁忙期と、上司からの叱責とが重なったことから、カッと衝動的になり会社の窓から衝動的に飛び降りようとしたところをすんでのところで制止されました。
自分でも限界だと感じており、これからどうしていいのかは全くわからず途方に暮れています。

➡<月経前不快気分障害(PMDD)>のページへ

気分変動を認める代表的な疾患

上で述べた通り気分の変動はさまざまな精神疾患のいち症状として出現するため、どの疾患の症状として出現しても不思議ではないかもしれません。
ここではまず、気分変動がその精神疾患の特徴となりえるものの例を一部ご紹介します。

気分変動が主症状になる精神疾患の例

躁うつ病(双極症/双極性障害)気分変調症
気分循環症一部のパーソナリティ障害
PTSD(心的外傷後ストレス障害)PMDD(月経前不快気分障害)

また、身体疾患などのいち症状としても気分変動を生じることのあるものがあるため、注意が必要です。

気分変動を認める身体疾患の例

甲状腺疾患てんかん
一部の薬剤によって生じる気分変動(ステロイドなど)
アクセス
谷町みきこころの診療所

〒543-0072
大阪府大阪市天王寺区生玉前町
1−13Tpgビル 谷町 2F

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診療時間

休診日:水・日・祝
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金曜は隔週で午前診のみとなります。土曜は隔週で午前診があります。
詳しくはカレンダーをご確認ください。

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◆近鉄 大阪線・奈良線 上本町駅から 西へ徒歩5分。(谷町筋沿い)

希学園個別指導塾の入ったビル2階です。

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