いろいろな嫌がらせで困っている

症状の紹介

大勢の人間が暮らす社会生活を送る以上、人間関係や環境のストレスから無縁でいることは難しいです。
なかには、マンションでの隣人とのトラブルや、会社でのハラスメントなど、さまざまな嫌がらせを受けて疲弊してしまうことも少なくはありません。

この「嫌がらせ」という切り口での訴えを考えてみると、その嫌がらせが実際にあったものであるケースと、周りがどれほどその確認をしても当人の訴える嫌がらせの証拠が見つからないケース、あるいはその当人が嫌がらせと感じる内容が突飛すぎるためににわかに信じがたいケースなどさまざまなものがありえます。
その状況や内容によって真に嫌がらせが実在しているために疲弊している場合も多々ありますし、または「妄想」と捉えられてしまうこともあるかもしれません。

しかしながら、こういう言い方は語弊を招くことになるかもしれないので慎重に言葉を選ばなくてはならないのですが、上記のような訴えをもとに受診された患者さんに対して精神科医ができることというのは、それをその通りであるとか、勘違いであるとか、妄想であるとかなどと断じることではなく、まずはその「嫌がらせを受けてヘトヘトである」というその状態についてどうしていくことができるだろうか・・・と一緒に考えていくことであると考えています。
そのためにできる環境面での相談があるならそれが第一となりますし、薬物療法が助けになるのであればそれをご提案していくといったように、ケースバイケースでやっていければよいのだと考えます。

架空ケースでみる具体的な症状

実在の例ではありませんが、よくみられる悩み事を架空のケースとしてお示しします。
このような症状に仮に当てはまっても、当てはまらなかったとしても、ひとりで悩まず、まずは一度ご相談ください。

ケース1

#いろいろな嫌がらせで困っている #眠れない #からだの症状

40歳代の○○さん(仮名)は、もともと長く工場勤務に従事し会社内でも評判の良かった人であったのですが、今年度から勤務地の異動を命じられ上司や同僚が変わったあとから調子を崩してしまっています。

もともといた部署では後輩が多く頼ってくれるひとも多かったのですが、いまは自分よりもさらに上の人ばかりで、“新人いびり”が常態化していました。細かいことでもすぐに怒鳴り声を挙げられたり、皆の前で正座して指導を受けさせられる、また仕事に関係のない雑用ばかり命じられるなどがこの数か月続いています。
前にいた新人もそれが原因で途中で休職してしまっており、最近では夜もあまり眠れません。
早朝に目が覚めて、気持ちが悪くなり吐いてしまう、動悸が止まらないなど、からだの症状も出てきてしまっており、「自分もそのうち潰れるのではないか」と暗い気分になっています。

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ケース2

#いろいろな嫌がらせで困っている #電磁波過敏 #ストーカー #眠れない

50歳代の○○さん(仮名)は、高齢の母親と二人暮らしです。もともと原因不明の体調不良に長年苦しめられていて、いろいろな病院でからだの検査や治療を受けていたのですが、あまり良くなることもなく、40歳になってからは仕事もやめ家でひきこもりがちの生活を送っていました。

この何年かは、「自分の体のしんどさは電磁波によるものに違いない」「自宅に電磁波発生装置が隠されている」と専門の業者を呼んで家電や壁を調べさせたり、インターネットの通販で購入した電磁波妨害グッズを購入して自室に設置したりしています。
頭も始終カッカしていて夜も充分に眠れていません。ついにはマンションの周囲の部屋にも「集団ストーカーが陣取って電磁波装置を置いている」と親が止めるにもかかわらず日中に部屋に押しかけようとしたり、どうしてあげればいいのか家族は途方に暮れています。

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ケース3

#いろいろな嫌がらせで困っている #眠れない

20歳台前半の○○さん(仮名)は昨年に「ネットやTVで自分の情報がばらまかれている」「職場でも遠くの方からひそひそ悪ぐちを話されている」と家族に訴えましたが、家族やまわりが見る限り何ら本人に関わりのないことでした。

そのときに受診した病院で統合失調症と診断されて内服治療を行ったところ、翌々月頃にはそういった考えは落ち着き、そういった情報漏洩にまつわる恐怖や不安感からは解放された生活を送ることができていました。いっときは職場も休むことになりましたが、それでも上司や同僚の理解も良く、復帰してからも熱心に働いていました。

ところがこの1カ月、多忙のために内服を忘れがちになって以降は、眠れなくなってきました。
夜にふたたびネットをする時間が増え、やや部屋が散らかりだし、家族は内服の再開を勧めましたが、「薬をなくしてしまって手元にないから」「次の受診からちゃんと飲むから」と飲まないまま1週間が過ぎました。
その頃からは再び「ネットの動画配信で自分の悪ぐちをずっと流されている」「これは自分のことだ」と話し出したため、家族は症状がぶり返してしまったことを心配しています。

➡<統合失調症>のページへ

妄想を認める代表的な疾患

上で述べた通り「嫌がらせに困る」ことはさまざまな精神疾患のいち症状として出現するどころか、日常生活の中でも遭遇することがあるため、その嫌がらせ自体に困ってヘトヘトになっていることをサポートすることが精神科医の役割であると言えます。

ここではまず、その嫌がらせの問題が「妄想」によるものに絞って、妄想がその精神疾患の特徴となりえるものの例を一部ご紹介します。
このような症状に当てはまる方は、ひとりで悩まず、まずは一度ご相談ください。

妄想が主症状となる精神疾患の一例

統合失調症妄想性障害

妄想が生じることのある精神疾患の一例

認知症アルコール性精神障害
薬剤性精神障害


その他にも脳炎などの身体疾患の結果として妄想などの精神症状が出現することもあるため、妄想があるからと言って一概に身体疾患が無いとは言えないことに注意が必要です。

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谷町みきこころの診療所

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1−13Tpgビル 谷町 2F

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