よく眠れない
目次
不眠について
夜の睡眠に関するトラブルは日本人の4-5人に1人にもみられ、そのうちの1割ほどは睡眠障害にかかっているとされています。
睡眠障害は単に眠れないというものから、睡眠の周辺で様々な問題が生じる睡眠時随伴症など、さまざまな病気を含んだ幅広い概念です。
「眠れない」という症状の背景には何らかの身体疾患、精神疾患が原因になっていることもあります。
また、「眠れない」状態が長く続くことで、日常生活に支障をきたし、二次的な精神疾患の発症や社会生活の障害に繋がることも珍しくありません。睡眠障害自体が、糖尿病など生活習慣病の発症リスクにもつながると指摘されており、早期の治療介入が重要です。
ケースで見る不眠
実在の例ではありませんが、よくみられる悩み事を架空のケースとしてお示しします。
このような症状に仮に当てはまっても、当てはまらなかったとしても、ひとりで悩まず、まずは一度ご相談ください。
ケース1
#眠れない #気分が晴れない #不安・怖い #食べられない
20歳台前半の○○さん(仮名)は会社の新しい部署に移って2か月たちましたが、以前と比べて明らかに体調が悪くなっています。
残業が増えたこともありますが、直属の上司がすぐに怒って怒鳴り声をあげるタイプで、職場の中の雰囲気が悪くなってしまったことが一番ストレスに感じています。
最初のうちはその上司の文句を言ったりしながら同僚と愚痴をこぼすこともありましたが、最近ではそういうこともする元気がありません。
あまり食欲もわかず、休みの日にも仕事のことが頭に浮かび、資料の準備をしながら「週明けにきっと怒鳴られるのだろう」と不安になり、そう思うだけで胸がどきどきして息苦しくなって、あまりリラックスできる時間もありません。
体調をくずしがちで、仕事場でもよくおなかを下しています。夜の睡眠はとても浅く、疲れて寝ても夜中に何度も目が覚め、悪夢も繰り返しています。朝はなんとか遅刻しないように起きますが、休めた感覚もなく、いずれ限界が来そうです。
ケース2
#眠れない #産後の不調 #イライラしやすい
30歳台の○○さん(仮名)は初めての子どもを授かり先月に出産を終えたところです。
出血量もそれなりで産後の体調復帰もままならない状態ですが、夫の仕事も激務で帰宅も深夜、あまり手伝ってもらうことも難しく、それぞれが疲弊しています。
2-3時間おきに赤ちゃんは目を覚ましそのたびに授乳やオムツ替えをするのですが、せっかく赤ちゃんが寝た後もなぜか反対に目が冴えてしまい、眠りにつくことができません。
じっとしていればするほど足やからだがむず痒く落ち着けず、どんどんと焦る気持ちが強くなって、結局はもぞもぞしながら朝を迎えてしまいます。
近くのクリニックでとうとう睡眠薬をもらいましたが、それを飲んでも効果はなく、すでに1カ月近くはその症状に苦しめられており、最近では日中には赤ちゃんの泣き声がしても起き上がれずにイライラしている自分に気づき、手伝ってくれようとする家族にも強く当たってしまうため、ますます手が付けられなくなり「親失格だ」と涙する状態が続いています。
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ケース3
#眠れない #睡眠リズムの乱れ #学校に行けない
小学生の○○くん(仮名)は注意欠陥多動症(ADHD)の診断を小児科で受け、薬は使っていませんが、定期的に通院しています。
日にちがかわるころまで友だちや知らない大人とのオンラインゲームに熱中してしまうことがここ半年つづいており、両親は悩んでいます。
ゲームをしていても、あるいはゲームをしていない日であっても、夜は親が就寝する23時ごろになってもまったく眠ることはできず、本を読んだり、おもちゃで遊んだりして、寝るのは3時、4時となってしまうことも少なくありません。
朝は学校があるので、親は強く揺さぶってなんとか登校させますが午前中の授業や昼休みなどはほとんど寝て過ごし(そのため怒られてばかり)、おやつ時分からようやく覚醒し他児の何倍も元気に、活発に過ごすようになります。
このままの睡眠リズムがクセになってしまったらどうしようかと、親は悩みあぐねています。
➡<概日リズム睡眠障害>のページへ
不眠をみとめる代表的な疾患を紹介
上記にお示しした例以外にも、不眠をみとめる疾患はたくさんあります。精神疾患が不眠の原因になることもおおいですが、実はいろいろな身体疾患が不眠の原因になることも少なくありません。
不眠を認める精神疾患の例
うつ病 | 躁うつ病(双極症/双極性障害) |
統合失調症 | 適応障害 |
PTSD(心的外傷後ストレス障害) | 睡眠障害 |
不眠を認める身体疾患の例
睡眠時無呼吸症候群 | レストレスレッグ症候群(むずむず脚症候群) |
甲状腺疾患 | いろいろな痛み、痒みからくる不眠 |
夜間頻尿からくる不眠 | 睡眠障害 |